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2024.11.15
見逃せない聴覚ケアの大切さ 日本の聴こえの現状について
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日本における難聴と聴覚ケアの現状


日本では、約1500万人が難聴を抱えているとされています。
しかし、その中で補聴器などの聴覚ケアを行っている人はわずか14%程度にとどまっています。このように低い割合の背景には、補聴器の高額な費用や、見た目に対する抵抗感、本人の聴力低下への認識不足など、さまざまな要因が絡んでいます。

しかし、難聴を放置すると、生活の質だけでなく、社会的な孤立や認知機能の低下、さらには健康寿命にも悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題に対処するためには、聴覚ケアの重要性を広く認識し、適切な支援体制を整えることが求められています。

補聴器を避ける理由、聴こえないままにする背景


なぜ補聴器を装着しないのか、その理由は多岐にわたります。それは、個人の意識や心理的な要因、経済的な事情、そして社会的な背景に根ざしています。補聴器を避ける主な理由について掘り下げ、その背後にある原因を明らかにしていきます。

自覚の欠如   

難聴は徐々に進行するため、本人が自分の聴力低下に気づきにくいことがあります。この進行が非常にゆっくりであるため、身の回りの音や会話が徐々に聞こえなくなっていくことに気付くことが難しくなります。特に、テレビの音量を少しずつ上げたり、他人の話を聞き返したりといった日常生活の小さな変化に適応してしまうことがあります。その結果、自分が難聴であることに気づかないまま過ごしてしまい、補聴器の必要性を感じにくい状態が続きます。つまり、日常生活で大きな不便を感じていない場合、そのまま過ごしてしまうため、補聴器の必要性を感じにくいです。

見た目の問題

 補聴器をつけない理由の一つに見た目の問題があることは無視できません。補聴器をつけることで年老いて見られたくないという気持ちが強く、特に外見に対して敏感な人々にとっては大きな障害となります。このような気持ちから、補聴器をつけることに強い抵抗を感じることがあります。

友人や家族、同僚からの視線や反応が気になり、補聴器を使うことで「年寄り」と見られることを避けたいと感じる人も多いのです。多くの人が補聴器を使用することに対して心理的な壁を感じているため、補聴器をつけることで年老いて見られたくないという気持ちから避ける人もいます。これにより、補聴器をつけることに強く抵抗を感じることがあります。

認識の問題

自分が難聴であることを認めたくないという心理的な抵抗も大きな要素として挙げられます。特に高齢者の場合、自分の老化を受け入れることが難しく、聴力の低下を認めることが自身の老化を直視することになるため、心理的に避けたいと感じることがあります。このため、補聴器をつけることで「老い」を自覚させられると考え、それに対する抵抗感が生まれるのです。また、聴力が低下していることを認めること自体が、自分自身に対しての大きな変化を意味し、日常生活における役割や社会的な立場にも影響を与えると感じることが多いため、補聴器の使用を避ける傾向があります。

費用の問題

補聴器は高価なものが多く、費用面での負担が大きいと感じる人もいます。特に高品質な最新モデルとなると価格はさらに高額になります。これにより、費用面での負担が大きいと感じる人が多く、特に固定収入が限られている高齢者や低所得者層にとっては大きな経済的な障壁となります。補聴器にかかる費用が、補聴器の利用を躊躇させる大きな要因となっているのです。

福祉の不足

補聴器をつけない理由の一つに福祉の不足の問題があることも大きな要因です。補聴器に対する公的支援や福祉制度が十分でないため、購入をためらう人が少なくありません。特に、補聴器の購入には高額な費用がかかるため、経済的に余裕がない人々にとっては大きな負担となるので、ためらいを感じる人も多いでしょう。このような福祉制度の不足が、補聴器の利用を妨げる大きな要因となっているのです。社会全体として、補聴器に対する支援を充実させることが必要です。

上記のような理由から補聴器をためらう人が多いのではないかと推測されます。

健康寿命と関係する難聴


難聴は高齢の方の日常生活動作や生活の質(QOL)にも関わっています。

日本における男性の健康寿命は約71歳、平均寿命は約80歳です。
女性の健康寿命は約74歳、平均寿命は約86歳です。
難聴が放置されると、これらの健康寿命に悪影響を及ぼす可能性があります。

難聴と認知症の関連性


厚労省が発表した「2020年からの新しい認知症施策大綱案」によると、認知症の要因の一つとして難聴が挙げられています。

近年の研究からは、加齢性難聴と認知症の関連性が浮上しています。
聴力低下が神経回路や脳の認知機能に影響を与え、認知症の初期症状が現れる可能性があると指摘されています。フランスの研究では、65歳以上を対象にした認知症テストで、難聴があり補聴器を使用していない人の結果が、補聴器を使用している人よりも悪かったという結果が出ています。
難聴への適切な対処は、認知症の予防にもつながると考えられます。

補聴器や集音器などの聴覚アイテムの使用を促進し、難聴への適切な対処を行うことで、健康寿命の延伸と認知症予防に寄与することが期待されます。

メガネ本舗の取り組み


「認定補聴器技能者」資格取得に向けて

補聴器の販売や調整などに携わる⼈に対し、公益財団法⼈テクノエイド協会が厳しい条件のもと基準以上の知識や技能を持つことを認定して付与する「認定補聴器技能者」という資格があります。

メガネ本舗においてもスタッフが資格を取得しており、14名(2024年10月現在)の認定補聴器技能者が各エリアに在籍しております。今後もお客様に快適な視界を提供するために、知識・技能のさらなる向上を目指し、スタッフの本資格取得に向けた取り組みに、より一層励んでまいります。

出張訪問サービスの開始

更に、メガネ本舗ではお客様のご自宅や施設に直接お伺いして、補聴器のフィッティングやメンテナンスを行う出張訪問サービスを提供しています。

このサービスは特に足元が悪い方や、移動手段が限られている方々に向けて発足されており、ご自身の生活空間でリラックスした状態で補聴器の調整を受けることができます。

日常の中でも安心して補聴器のケアを受けていただけるよう、私たちは真心を込めてサポートいたします。もちろん聴こえだけでなく、見え方についてもご相談ください。

新たな聴覚アイテムへ 集音器への取り組み

また、メガネ本舗は長年補聴器販売を行っており、お客様とのヒアリングの中で見た目や費用などの問題から補聴器の購入をためらうというお声をよく頂戴してきました。中には聴覚ケアを諦めるお客様もおられました。そんな現状を目の当たりにして、これらの課題と向き合うことを決めました。


「安価で良質な聴覚ケアをお客様に届けたい」という思いを形にし、約1万件の補聴器フィッティング経験から得た知識と技術を集音器製作に活かした「みみサポシリーズ」を提供しています。

現在みみサポシリーズは4器種に渡って展開しており、シンプルな見た目のワイヤレスイヤホン型や操作の簡単な耳掛け型、高性能集音器などお客様のご要望に応えた集音器を取り扱っております。

補聴器や集音器などの聴覚アイテムを通じて、お客様とそのご家族様に「よりよい聴こえ」をお届けすることを使命とし、皆様の日常生活がより豊かで快適なものとなるよう努めてまいります。私たちは、聴力の改善が笑顔と幸せをもたらし、人と人とのコミュニケーションをさらに深める力を信じています。皆様の笑顔が増えることを心より願っております。

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南 秀紀
認定補聴器技能者
「聴こえ」に悩んでいるお客様に寄り添い、安心して補聴器をお使いいただけるよう日々努めています。お客様の聴こえのお役に立てればと思っております。
「聴こえ」に悩んでいるお客様に寄り添い、安心して補聴器をお使いいただけるよう日々努めています。お客様の聴こえのお役に立てればと思っております。

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